インド自動車産業の過去・現在・未来①

当社では、日印の自動車産業と深く関わり、技術と営業展開のコンサルティングを行っています。
当社のインド人パートナーコンサルタントの数人は、インド自動車産業を切り開いた生き証人で、インド自動車産業の成長とともに、キャリアを磨いてきた方々です。

彼らとの会話の中で、昔の話しが頻繁に出てきます。
「当時は、自動車製造技術が無いので、スズキの技術者から、日本式製造方法をゼロから吸収するしかなかった…」
「下請けに出そうにも、自動車部品製造ノウハウがないので、自分たちで作るしかなかった…」
などなど。

自分自身の後学のためにも、インド自動車産業の歴史的背景について、まとめてみました。

1.黎明期
インドの自動車の歴史は古く、1897年に最初の車が走りました。もちろん輸入車です。自動車がインドの産業として始まったのは1940年代で、1942年にビルラ財閥がヒンドゥスタン・モータース社(以降「HM社」)を、1945年にタタ財閥がタタ・モータースを設立。同年マヒンドラ・マヒンドラも設立されました。

1947年8月15日のインド独立を経て、1949年、HM社が英国モーリス社と提携、1956年「モーリス・オックスフォード シリーズⅢ」の生産設備ごと購入し生産開始。それが「アンバサダー」で、1980年代初頭まで、国内シェアをほぼ独占していました。
1960年代には、バス、トラック、スクーター、トラクターなどの生産も始まり、年間生産量は徐々に増加します。1980年の年間生産台数は11.5万台です。

Ambassador
50年以上モデルチェンジのない車アンバサダー